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歴史の意味とジョン・ダワー
ジョン・ダワー氏は1999年に日本の戦後復興について書いた「敗北を抱きしめて」でピューリッツァー賞を受賞した人で今はMITの教授をしている。
本人はアメリカ人だが奥さんは日本人で若いころに金沢にも住んでいたそうな。日本を勉強するには確かにいいところだね。そしてハーバードの修士では森鴎外、博士号は吉田茂を研究対象にしていて、根っからの親日家と言えるだろう。
先日テレビで彼のインタビューを見たが非常におもしろくまた共感できることが多かった。
言葉の端々に日本に対する本当に大きな愛を感じた。
その愛があるからこそ彼には戦勝国にはない独特の視点が生まれたのだろう。
少し意外だったのが、歴史ばなれの若い人についてどう思うかという問いに対して非常によくわかると言っていたこと。あと自分ですら学士をとるまで歴史は嫌いだったという意見は興味深い。
年を重ねるとともに自分が理解できない世の中の現象を理解しようとしたときに歴史に興味を持ち始めたと言う。
これは非常によくわかるし共感できる。比べるのは非常に僭越だがぼくも中学ぐらいまでは歴史はきらいだった。時系列にできごとと年号を覚える意味が理解できなかった。大学受験も理系は5教科12科目と最も受験科目数が多い時代にも関わらず社会は現代社会と地理をとって歴史は避けた。大学での一般教養でも歴史はとらないで済むしな。
ところが歴史小説やドキュメンタリーは好きで、また大河ドラマも小学校の頃は必ずと言っていいほど見ていた。
ほんでもこれって多分あんまめずらしい話ちゃうやんな。そういう人多いんちゃうか?
ただよくよく考えると本来歴史は物語であって、過去の体験を未来に活かすもの。動物行動学者のドーキンスは「言葉は第二の遺伝子である」という名言を残したが、太古の「歴史」はどこにいつごろ動物が通るかとか、いつごろ種をまくといいとか生活に密着していたものだ。
それが人間が言葉と文字を持ち、さらに印刷などで再生産する力を持ったことにより過去から学ぶ能力が飛躍的に増した。ところが世の中が複雑になり過ぎて目の前の問題を解決するために歴史に解を求めることは若いころはあまりないんちゃうかな。単純に物語としてのは歴史はおもしろいが、歴史ってむしろ30代過ぎてから勉強したほうが効果的なんじゃないかとも思う。
カナダの心理学者のタルヴィングがエピソード記憶という長期記憶の一種を提唱していて、文字通りエピソードを記憶する能力である。手続き記憶のような短期記憶は年とともに衰える。例えば8ケタのランダムな数字を覚える能力は20代を境にどんどん落ちる。ところがエピソード記憶は年齢とともにより多くの海馬の領域を使いむしろ発達するという説もある。少し論理の飛躍を承知で言えば歴史に学ぶ能力は年をとってきてからのほうが高くなる。おじさんの話が長いのはのせいか?(笑)
あともうひとつ興味深い視点。彼は日本を多様性の国と言った。さすがだと思う。
企業現場でも日本は多様性がなく同質という意見をよく聞く。そして多様性を持たすために女性や外国人を増やそうとなる。これはこれで間違いなく多様性だけど、それは一部ですよね。
そして多様性を増すためにいきなり女性や外国人を短期的に増やすのは現実的ではなく、すでにそうなっている会社と比較して優位性が持てるわけでもない。また多様性を増やしても、異質なものを受け入れる能力がなければほとんど意味がない。それでも持続性の高い成長企業になるには多様性を増す努力はしないといけないのは言うまではないが。
多様性の中にも多様性があるのでまずは身近な多様性に目を向けるのが現実的だろう。
以下インタビューの一部
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歴史学の中の何があなたを引きつけますか?
日本は、アメリカや他のどの国でも同じだが、とても複雑で多様性のある国なんです。
いわゆる「日本」はない、いわゆる「日本人」もいないんです。
たくさんの異質な日本があって、たくさんの異質な日本人がいるのです。
そしてその複雑さが魅力なんですよ。
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出典;
トップインタビューに学ぶ
自分を語る表現術にて
NHK教育
What in history study attracts you?
Japan like America like any country, is a very complex, diversified country.
There's no "Japan". There's no "the Japanese"
There's many different Japans, and many different Japanese.
And it's this complexity that interests me.
投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2010年05月20日 15:31
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