三ツ松新'sブログ

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新製品の成功は千三つ

アイデアの数を分母にした場合、新事業や商品の成功率は何%でしょうか?この質問にまともに答えれる人はおそらくいないだろう。俗に「千三つ」ぐらいだと半ばあきらめ気味に言うひともいるが、まんざら嘘でもなさそうだ。

アメリカのデザイン会社のIDEOの一部門でおもちゃのアイデアをライセンスにして売っているところがある。アイデアの数をトラッキングしているらしいが、1998年には4000個のアイデアを創り出した。その中でいけそうなもの230個は製図やプロトタイプを作って12個が売れた。

4000中12なのでまさしく千三つ。あまりの偶然(というか必然)に驚いた。
ただこの会社としてはお金になっているのでビジネスとしてはプラスやけど、アイデアを買った会社が全部を商品化しているわけではない。またしたとしても儲かったものの数を考えるとその先の会社にはさらなる「千三つ」が待っている。

辞書を見れば千三つ=「千のうち本当のことは三つしか言わない意」うそつき。エジソンやタッカーがうそつき呼ばわりされたのも無理のない話かもしれない。

個人的にP&Gにいたころの製品開発を思い出してみてもそうだが、アイデアの数は千では効かない。そのアイデアの中からコンセプトが千三つで決まってもそのあとは千よりははるかに多いプロトタイプづくりが待っている。

独立してからのコンサルティングでも大企業向けの新規事業のプロジェクトなどは最低でも千ほどアイデアを出すようにしているが、それでも最終的な役員のプレゼンに持って行けるのは10個もあればいいほうだ。ベンチャー企業のクライアントはもっと有機的に動くが、アイデアの数はそれを凌ぐものがあるだろう。

ようは失敗を多くした人にしか大きな成功は待っていない。天才ができあがる条件としてとにかく失敗の数が多いことを指摘する教育学者もいるが新商品や事業にも同じことがいえる。

そこで企業の失敗を奨励するような風潮の専門家を時々見かけることがあるが、闇雲に失敗するのもあかんやろ。単純にそろばん勘定が合わん。
あと成功率があまりにも低いと「失敗はいけない」負の文化が育ち、ますますイノベーションを起こす力が弱まる。

行うは難しだが、大事なことは2つ。
1.学ぶことがあれば失敗ではない。
2.安くで失敗(学ぶ)すること。

あまりにも当たり前でばかばかしく聞こえるかもしれないが、3回の大ホームランが出る確率を上げようとする努力はよく見かけるが、997本の空振りを安くする方がはるかに簡単だ。

参考;
http://bobsutton.typepad.com/my_weblog/2008/10/generating-600-ideas-to-get-18-failing-forward-at-the-onion.html

投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2008年11月03日 13:56

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