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業績と従業員満足度、どっちがたまご?

これまで業績と従業員満足度に関する研究はいろいろあるが、従業員満足を高めると業績も上がるというのはよくいわれることだ。そういうことを実体験の中で感じた人も少なくないだろう。じゃあ従業員幸せにすればそれでいいのかと言われれば、マネージメントを少しでも経験した人であればそんな簡単な話じゃないことは誰でも分かっているだろう。

アメリカのメリーランド大学の先生の論文で、従業員態度が先か、業績が先かという意味合いのタイトルの物がうまく補足している。この中では従業員満足があがると業績があがることは確かだが、実はその逆の側面のほうが強いという。すなわち業績があがるから従業員満足があがるというのだ。また給与に対する満足は業績と相互作用はもちろんあるが、因果関係があるわけじゃない。

あまりにも物事を単純化していることを承知のうえでこれらのことをまとめてしまえば、組織のアップスパイラルは以下のようになる。

1.業績があがる(一部給与に反映)
2.従業員満足があがる
3.1に戻る

これはモチベーション理論にあてはめても理にかなう。モチベーションには大きく分けて外的と内的要因がある。外的なものはお金をもらう時や誰かに認められた時(承認欲求)に起きる。そしてその結果、内的モチベーションである「やる気」がでてくる。罰も外的要因になりうる。減給や怒られることが外的要因になり、それをさけたいという内的なモチベーションが働くこともある。ただ後者はいろんな原因で少なくとも今は時代錯誤的になりつつあるけど。

もちろん外的要因には影響をあまり受けないような内的モチベーションもある。例えば趣味なんかはそれに近い。最も仕事が趣味ぐらい好きというひとは非常にめずらしいので内的モチベーションがスタートになる人は少ないだろう。

よって先ほどのアップスパイラルとモチベーション理論を重ねると、業績があがると給与もあがるし、まわりからもすごいねと言われる。やる気がでるのでさらに業績があがる。するとさらに給与があがってさらにみんなにすごいね、いい会社に勤めてるねと言われて誇りが持てる。規模の大小に関わらずエクセレントカンパニーの公の秘密だね。

参考論文;
Journal of Applied Psychology 2003, Vol. 88, No. 5, 836–851
Which Comes First: Employee Attitudes or Organizational Financial and Market Performance?
http://www.apa.org/journals/features/apl885836.pdf (原文)

投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2008年11月28日 12:34

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コメント

久しぶりー。
最近ブログメディアを研究中なので、リーダーに登録して拝見させてもらってます。
業績と従業員満足度、どっちが先かは、経験からして業績なのは間違いない。
乱暴な言い方かもしれんが、ビジネスは結果ありきだね。

投稿者: 竹内 | 2008年12月02日 10:47

>竹内さん
久し振り、個人的にもそう感じるなあ。特にベンチャーは業績が肌で感じるからよけいそうやね。

投稿者: mitsumatsu | 2008年12月11日 11:39

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