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金融危機はレーガンの責任?

金融危機の責任はウオール街だ、MBAだ、グリーンスパンだとなんだか魔女狩りのようないきおいもあるけど、ぼくの好きな経済学者で去年ノーベル賞受賞したポールクルーグマンによればレーガンのせいだという。

レーガンは81から89年まで2期、アメリカ大統領を務めた人で20代の人からすりゃ、もはや歴史の人かもね。そのレーガンが大統領になる前の70年代はまだまだアメリカも日本ぽかったといえば語弊があるだろうか。

意外と思う人もいるかもしれないが70年代のアメリカでは貯蓄率はまだ10%近くもあり結構高かった(ちなみ金融危機前のアメリカはマイナス、日本が3%程度)。この頃ぼくはまだ子供でアメリカに住んでいたが、個人的な経験からも当時周りは移民の子供ばかりで裕福な人は少なかった。しかしハードワーキングは報われると言う古き良きアメリカの感覚は強かったように思う。

この前の選挙活動の時、オバマとマケインの対談で23回も名前がでてきたJoe the plumer(配管工のジョー)なんかは今も残るそういった価値観の代表だろう。実際のところJoeは思いのほか金持ちでプロパカンダにはもってこいという批判はあったが、まっとうに一生懸命働いて成功した人が報われるべきというのはウオール街以外では案外強いようだ。

そんな古き良きアメリカで80年代にレーガンは金融規制緩和によりお金を貸しやすい環境を作った。それだけ聞くと悪いことばかりではなくもちろん当時の指導者たちも悪意を持ってやってはいないでしょう。
当時彼は「この法令は過去50年の中で金融機関にとって最も重要なものだ」とまで行ってのけたほどだ。

しかし預金はある程度国が保証しているので、実質的には金融機関に、人のお金で合法的にギャンブルする権利を与えてしまった。それも勝った時には懐にいれて、負けたときは国(税金)に保証してもらえる耐えがたくおいしい状況だ。

また家を買う頭金の制限がゆるくなり、夢のマイホームを手に入れるための敷居が一気に下がった。そして借金漬けでもいいやというような意識変化が少しづつ強くなり、それが25年後に一気に噴出したわけだ。

ただ皮肉なのは住宅を買うときの規制は1930年代の大恐慌の後、当時の指導者たちが同じ過ちを繰り返さないために、作ったものだった。それが50年後の80年代にはまたとっぱらってしまったわけね。もちろんリスク管理能力があがっているので大丈夫という理屈はあったのだろうが、歴史はいつも少し違う形で繰り返される。

参考URL;
http://www.nytimes.com/2009/06/01/opinion/01krugman.html?_r=1
http://abcnews.go.com/Video/playerIndex?id=6047458

投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2009年06月30日 15:13

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