三ツ松新'sブログ

イノベーションコンサルタントのデジタルクリップ

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2009年12月17日

アインシュタインの名言

間違いを犯したことがない人は、新しいことを何もしたことがない人だ。

アルベルト・アインシュタイン

これ簡単だけど深いね。ところで今年の漢字は「新」になって、三ツ松さんの年ですねって何人か言われました。でもあと2週間しかないやん、1月に言うてーな(笑)。

それはさておき新しいことをするのは勇気がいる。失敗が好きな人っておらんし、負けたり、損したり、(ラジバンダリ!)して馬鹿にされるのは誰でもいやや。だけど新しいことをするのもひとつのリスクでそれがなければリターンもない。リスクを下げる努力は必要だが、失敗したこと、負けたことがない指揮官は恐ろしく弱い。

原文;
Anyone who has never made a mistake has never tried anything new.

投稿者: 三ツ松新 日時: 13:25 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年12月10日

ベトナム経営者研修

先週ベトナムで経営者向けにセミナーをしてきました。海外研修の講師って長期になりがちで、なかなか行きたくても予定が合わずに行けないことが多いのですが、今回はちょうど空いてるところにすっぽり。

セミナーは現地の社長、副社長50人弱が相手で、非国営企業の新しい企業ばかり。かなりベンチャースピリットは旺盛。リーダーシップがテーマでしたが、なかなか反応も良く、こちらも有意義な時間が過ごせた。

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さて今回はセミナー以外にも現地の日系企業の視察やベトナム戦争の頃からベトナムと交流がある日本人ビジネスマン、また現地の人ともお話できる機会があって非常によかった。

これまでいろいろな国に行きいろいろな国の人と仕事をしてきたけど、ベトナムはある意味特殊なところがいくつかあった。よく言われるのが農耕民族で比較的温厚。識字率も高く、勤勉で手先が器用。また世界の中でも比較的日本人に似ていて付き合いやすいというイメージを持つ人が多いんじゃないだろうか。

私もベトナムに行く前は同じように思っていた。確かに多くのことは前評判通りなのだが日本人と比べると考える時間軸が短いように感じた。あとブルーカラーとホワイトカラーがはっきりしていて、高度経済成長期の日本のように社長が生産現場で油まみれになることはあまりないようだ。そういう意味では日本より欧米諸国のほうが近いかも。

現地に長い日系企業の方数人と話していると、当然ながらマイナス面もでてくる。あまり考えないでとにかくどうしたらいいという具体的な指示を欲しがる。その場を取り繕う、あまり意欲がない、プライドが高く知らないことを知らないといわない。セミナーでも一部近いことを感じたが、理論の話より、とにかく今目の前の問題を解決する方法を知りたいという経営者の方が多かった。もちろん日本でもそういうタイプの人はいるにはいるが、経営者層にはあまり多くない。

短期的思考は、日本では悪い面に見られることが多いが、欧米人と仕事をしていても同じような感覚に合うことはよくある。なんでこんな目の前のことだけ考えるのだ?と思ったことある人も多いことでしょう。
アジアにありながらなんでそういう面を持ち合わせたのだろうかと漠然と思っていたが、セミナー終了後歴史博物館に行ってなんとなくその答えが見えてきた。

ベトナムはホモサピエンスがでてくる以前から原始人が生活していて、青銅器文化も東南アジアで最も古くから発達している。非常に肥沃な土地に恵まれていて紀元前はある意味先進国なわけです。だけどその肥沃な土地のために石油文明以前から何度も攻め込まれます。石油文明までは基本的に戦争の種は水と食料の取り合いやからね。彼らの歴史はまさに戦争の歴史。何千年も攻め込まれ、占領されてはまた取り戻すということを繰り返している、ディフェンディングチャンピオンですな。

元が攻めてきたときも日本のように神風がやっつけてくれるわけでもなく自らで自国を守らないといけない。歴史博物館には何度となく攻められてきた状況をジオラマで再現してあったが、狭い渓谷に誘導して上から石を落したり、たくせんの小船で木造戦艦に奇襲したり。ベトナム戦争で勝てた理由と戦争責任を問わないわけがなんとなく見えたような気がする。

何千年も戦争をしてきた国であれば短い時間軸で物を考えるような国民性になってくるのもうなづける。日本の場合も肥沃な土地には恵まれたと言っていいだろうが、島国でほとんど攻め込まれたことがない。また民族が少なく文化的な面から支配を受けることもなかったため、要塞都市がなく城下町が発達した。おえらいさんがドンパチやって統治者が変わっても意外に田畑は守られる。異質の価値観を押しつけられて、急に一族郎党全員奴隷にされたりということがほとんどない。

戦いが多い国土で育てばあまり長期的にものを見ていくのは難しいし、そういう国民性になってくるのもうなずける。サイクルの早いハイテクや金融が世界で一番北にあるバイキング諸国のフィンランドやアイスランドあたりで発達するのも偶然ではないでしょう。またスエーデンのエイチアンドエムも延期型のビジネスモデル。デザインから棚に並ぶスピードが早く売り切れ御免で再生産はしない。こうすると在庫切れという概念がなくなり生産計画も随分楽になる。投機型といわれるユニクロとは正反対のビジネスモデルだ。

ただ北欧の国々は国土が肥沃じゃない。そりゃ雪とトナカイしかなければとなり攻めに行きたくなるよね。おまけに誰も本拠地とりにこないので安心して攻めにいける(笑)。そこがベトナムとは決定的に違う。

あれだけ戦争が多いベトナムでも好戦的な国民かと言えばそうでもない。一部ベトナム中部を除けば自ら攻め落としにいったことはほとんどないそうな。自国を守り続けたところと他国を攻めに行くところでは随分国民性に違いはでてくるでしょう。
そこで悪く見ると短期的な思考で取り繕うが意欲が低いとも見れる。しかし裏返してみれば、環境順応性が高く、調和性が高い誇り高い国民ともいえる。

最近ベトナムでは日本とのつながりが強く日本側の教育支援もいわゆる5Sや改善的な日本型のものづくりがほとんどだ。これはこれでいいんやけどビジネスモデルとしてはじっくり構える投機型よりサイクルの早い延期型ののほうが向くやろうな。今回の通訳のベトナム人の方がベトナムはモノ作りよりサービス業が向くと思うけどなあと漠然と言っていたのが印象的だ。

じゃあベトナム企業は北欧諸国のイケア、ノキア、エイチアンドエムを目指すのかと言えば、本拠地が貧しくないので外部に攻めていくということをあまりしないだろう。そこでディフェンディングチャンピオンの特徴を活かして、外資規制緩和をすすめる。ベトナムに進出する非ベトナム企業と戦ううちに勝てるセグメントが見えてくる。

集中戦略になる可能性が高いが局地戦を世界で展開すればかなりの大企業になれる。ぼくが昔いた消費財業界ではイギリスのレキットベンキーザーなんかがそうかな。ここは自前でやってM&Aも積極的だが(因みにクレアラシルをP&Gから買った)、ベトナム企業なら海外のローカル企業との永続的な業務提携もあり。

日本の製造業にもグローバルニッチの優良企業はたくさんあるけどローテク、ハイノウハウで長期的に職人芸をため込んでいく投機型が多い。ベトナムはどちらかと言えばサイクルの早い非耐久消費財、サービスまたは一部のハイテクなどの産業がいいでしょう。

今回大学院でベトナム経済を専攻したという女性にご同行いただいたがその方との話もおもしろかった。10年以上前から現地の人の声を聞くと、ローテクはいらない、ハイテクのみに特化していくべきという人が多かったそうな。
この感覚まんざらでもないように思う。

さて明日からは東京で日本人向けの幹部候補生研修。がんばろうっと。

投稿者: 三ツ松新 日時: 11:54 | | コメント (2) | トラックバック (0)