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バカとグーグル脳は紙一重

検索エンジン使うとバカになると言うおじさんに会うと、写真撮影の度に命が減ると言うおじいさんの笑い話を思い出すのは俺だけか?でも笑いごとではない。もちろん自分も含めてだが人間バカにならんためにはめちゃくちゃがんばらなあかん。

注;関東圏の人はバカをアホと読み替えてください。

UCLAのGary Small博士の調査が実に興味深い。下の写真の左側が文字を読んでいる時、右側がインターネットを使っているとき、そして上はネットに精通していない人、下が精通している人の脳の活動領域。

ネットに精通していない人(上)は文字を読むときもネットで検索している時もあまり脳の使い方に違いがない。
一方精通している人(下)は本を読むときにはあまり違いはないが、ネットを使うときの脳は明らかに違う。前頭葉、思考と意思決定する部分が特に活発だ。

gglbrain.JPG

文字通り、バカもはさみも使いよう。どんなに高尚な共通善のために作られた技術でもバカが使えばとんでもないことになる。新しい技術には必ず功罪があり、ノーベルの研究はダイナマイトにいかされ、アインシュタインは原爆に。そして日本で今、最もノーベル賞に近いだろう山中先生のips細胞はもはや神の領域である。天使にも悪魔にもなりうるすごい技術だがそれをどう使うかは人間の手にゆだねられている。

茂木健一郎さんがこないだテレビで思い出すのをあきらめてすぐに検索エンジンに頼るのはいけないと言っていた。記憶領域から情報を引っ張りだす神経が弱るだろうからそりゃあそうやと思う。例えばオーストラリアの首都はどこだっけ?みたいな明快の答えが一つしかないもんにいつも使ってれば脳はナマクラになるやろう。

でもだからと言って検索エンジンとかインターネットがバカにするわけではない(これは拡大解釈で彼はそうは言ってない)。興味のある対象についてより深く知りたいと思えばこれに勝る技術はないだろう。辞書、事典などと比較すると周辺情報に弱いという議論も時々聞くが、そう言う人はリンクを十分に活かし、段階的に深層まで検索しきれているのだろうかと疑問に思う。ネットに精通していない脳の人が言ってもあまり説得力がない。いや本人にとっては説得力が有り過ぎるのが問題だろう。

ところで以前なぜ馬鹿になるかと言う論文を読んだが、思わず苦笑してしまった。結論としてはバカと気付かないからバカになる。簡単に言えばまわりの空気が読めないどころか相対的な自分の位置すら見えないからバカになるそうだ。ハーバードやケンブリッジ卒であろうが、小学校卒であろうが、自分の位置が分からなくなった瞬間バカになるわけだ。エンロンの経営陣をバカと言っても異論を挟む人は少ないだろうが、破たんした時のCEOのスキリングはハーバードビジネススクール卒でその後マッキンゼーにいた超エリート(この言い方自体なんかバカっぽいがw)だ。
こんな人でも権力を持ち自分の立つ位置が分からなくなるとバカになるんだから自戒も込めてこれは本当に気をつけないといけない。

そう言えばぼくが子どもの頃はテレビでバカになるとか、ゲームでバカになるとか、白米食うとバカになるとか(これ言ったの担任の先生w)。どんどん世の中バカになるようだが、最近の若者はバカというのは3000年ぐらい言い続けられているそうなので若い諸君、あまり気にしないように。ここ数十年間IQテストの平均を同じぐらいにするために問題を難しくしている。やはり世の中は進化して賢くなってるわけですな。学力低下はむしろ相対的なもんで絶対的なもんじゃない。アメリカはここ50年でIQが15ぐらいあがっている。平均の人が100で70以下が軽い知的障害とされているのでそのぐらいすごい飛躍かがわかるだろう。

さて話を戻すがこの調査の結果をみるとようはインターネットに精通していない人は自分が検索エンジンを十分使いこなせていないことになる。しかし本人はそれに気付いていない。そしてその結果ノスタルジーにひたりながら検索エンジンに否定的な立場をとり始めると・・・・・

参考資料;

http://journals.lww.com/ajgponline/Abstract/2009/02000/Your_Brain_on_Google__Patterns_of_Cerebral.4.aspx

投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2010年09月30日 13:28

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