三ツ松新'sブログ

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マーケティング近視眼

マーケティング近視眼という論文でこの世に名前をとどろかせたセオドアレビット氏の名言

「人が欲しいのはドリルではなくそのドリルの開ける穴だ」
iStock_000000381079Small.jpg

レビットはハーバードMBAの教授でマーケティングでは有名なコトラーが東の横綱とすれば、西の横綱と言ってもいいだろう。コトラーはポスドクで数学に興味を持ち勉強していたことからもわかるようにかなり左脳型のマーケティングでフレームワークを重視するが、レビットはもっと右脳的で概念や物の考え方を示してくれる。

この言葉をはじめて聞いたのは随分前になるがかなり衝撃を受けたような記憶がある。マーケティングでは顧客の立場で考えろとよく言うがこのひとことが最もその理解をすすめてくれたように思う。

ところでこの名言の正式な原文を探してる間に古い中国の言い伝えで
「月を指してる時にバカは指を見る」
というのを見つけた。これも思わずうなってしまった。やっぱり4千年の歴史はすごい。

備考
Theodore Levittの名言の原文は以下の通り。本文では意訳してます。
"People don't want to buy a quarter-inch drill. They want a quarter-inch hole."

>ヒロポンさん
これはどう?

投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2006年06月06日 09:46

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コメント

こちらでははじめまして、です。

難しいのは、
自分がドリル屋さんだったときに、
ドリル以外の提案ができるかどうか、かも。

これはブランディングの領域ですね。

投稿者: やまもとかずや | 2006年06月07日 02:37

>やまもとかずやさん
コメントありがとうございます。ブログ書く励みになりますw
確かに難しいですね。特に提案であれば意識改革の部分が。
ただマーケティング近視眼の論文ほど大上段に構えなくても、より「客にとって穴を開けやすい道具」という視点から始めるのでも十分でしょうね。少なくともスペック競争大好きな会社にはいいかと。
学生時代に読んだ大前研一氏の本を思い出しますがそういう顧客視点の小さいけど大事な違いが多かったように思います。今の彼は違いますが(笑)。
それはさておきどんなイノベーションでも最初の一歩は極めて小さいですからいきなり「ドリル屋発想はやめろ!!」は通用しないですよね。

投稿者: 三ツ松新 | 2006年06月07日 08:30

原著の前後の文章を知らないのに僭越ですが、、、技術屋の私からすると”はっ”と視野が広がる程のインパクトないな~。

 客はわがままなので、どうせ金を払うなら、きれいでほころびのない穴を開けたがる。それも穴は早く開いたい。
 もちろん錐程度の穴で満足するお客さんにドリルを使う必要はないけど、優れたドリルを持っていることは絶対的に有利で、優れたドリルを持つことに尽力することは長い目で見て最適解の1つのようにも思う。
 この考え方は、イノベーションを阻害する古典的な発想ですか?

 それとも、穴を開ける目的を明確にすれば、穴を開けることだけに固執せず、穴を開けない柔軟な解決策も見出せる、というぐらい本質を見極めろという問題提起なのでしょうか?だとすれば奥が深い。

投稿者: ヒロポン | 2006年06月07日 19:46

>ヒロポンさん
客はみんな所詮わがまま、そしてそろってほころびのない穴を早く開けたいのは本当?
顧客が何のために穴をあけているのかをつきつめれば無限に解決策はあるように思う。穴を開けないことももちろん含まれる。そもそもの論文の主旨はそちらに近いのでヒロポンの言うように意外と奥は深い。

投稿者: 三ツ松新 | 2006年06月10日 22:09

経営学の教科書にマーケティング的近視眼と云う言葉が出てきますね・・
現在の経済社会は、90年代とは絶対的に市場のニーズは変化していますね・・
何故変化して来たのでしょうか???
10年前は、何もお客様は文句も言わず買って頂けたのですが、今はいらないと言う・・

何故?? 変化の背景を知らないと何れ、わが社は倒産か??

そうだよね お客様はドリルなど欲しくはないと思えばいいんだ~ そうだ穴だ!穴だ!穴だ!穴を売ればいいんだ・・

投稿者: もりたかし | 2007年03月26日 17:05

>もりたかしさん

唯一の普遍性は変化することですね。ひとことで言ってしまえば顧客ニーズは常に高次化していくけど何がより高次かを考えるのは難しいですね。

投稿者: 三ツ松新 | 2007年03月27日 16:11

進化論で有名なダーウィンは、強いものが生き残るのではなく、変化に対応出来る者のみが生き残るのだといっています。
マーケティング的近視眼の危険性は、成熟社会においては、きわめて重要なテーマではないでしょうか?

あらゆる業界において、提供する商品やサービスを消費者が買い求める背景を知る必要性があるね~

お客様が、何々を下さいって言っているけど、そのものの持つ本来の役割を十分提供する人が理解していないと消費者ニーズの深いところにある領域には近づけないのでしょうね・・

投稿者: もりたかし | 2007年04月04日 15:03

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