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NHKでスタンフォード大学白熱教室

昨年3月に出版され、翻訳の推薦をして解説を書いた『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』がおかげ様で30万部近くまでいっています。そして5月1日に著者の講義がNHKの番組になります。ハーバード白熱教室が人気のようですがその第二弾という位置づけです。

時々ブログ等で二番煎じのような書き方をされている人もおられるようですが基本的に関係ありません。本を推薦したのは2009年4月で2年前の話です。日本での翻訳本もサンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』より2か月早くでています。確かに最近20歳だの30歳だの40歳だの5匹目ぐらいまでドジョウがいっぱいでてるのはそうですが。

まあそんな誰がどんだけ早かったかなんか本質ではなく、どうでもいい話ですが、内容もかなり違ったもので、「何が正しいのか?」という問いかけより「どう成長すべきか?」という命題に挑戦しています。

以前東洋経済が「哲学」というテーマでどちらの本も紹介されてましたが、おもしろい切り口です。ニーチェの本も紹介されていましたが、二番煎じというよりは今の日本で普遍的な知恵が求められているというのは背景にあるでしょう。

経営学で俗にS字曲線という成長カーブがありますが、日本の実質GDPをプロットすれば教科書通りの見事な曲線になり、ここ10年は停滞しています。このような時代はいつも混迷の時代と言われます。日本では大恐慌の手前やオイルショックの手前などもそのような時代だったのでしょう。それまでの価値観が通用せず新しい考え方が必要になりますが、同時に普遍的な価値観を崩さないように構築していかなければいけないという難しさがあります。

そのような時代に宗教や哲学に答えを求めるのは決して珍しいことではないと思います。哲学というとなんだか小難しいイメージがありますが、そもそも学問はすべて哲学です。いまでも諸外国では博士号がPhD(哲学のドクター)といわれる所以です。P&Gにいたころの同僚にPhDもいろいろといましたが「おれ哲学わかんねーけどPhDなんだよね」とよくわらかんアメリカンジョークを何度か聞いたことあります。
みなさん専門領域は活性剤や乳化や撹拌などで無理もない話ですが何千年もの時間を経て、哲学も随分と細分化してきたわけだ。

だけど今一度philosophy という言葉を考えてみれば語源は知を愛するという意味。日本でいえば愛知県(笑)。知を愛し、つきつめればこの時代ある程度専門化していくのは当然の成り行きでしょう。もちろん大局的のものが見れなくなる弊害を指摘する人はいて、確かにあると思います。しかし本当に突き抜けた人は中途半端な専門バカではなく専門領域を駆使しながら大局感を持っています。

ただ残念がら専門領域で万に一人の逸材として突き抜けた大局感を持てる人はそうそういません。またかなりの時間がかかり気付いた時には60歳ぐらいになってても不思議じゃありません。それはそれですばらしいことですが、我々は常に進化しています。知識社会においては昔は60歳になるまで分からなかったことが50歳、40歳いやそれこそ30歳でわかるようになることがあってしかるべきでしょう。もちろんそれがより高い個人の幸福レベルとよりよい社会につながるという前提があってだが。

そういう意味で普遍的に正義とは何か?新しい考え方としてどう成長すべきか?という問いかけはいくつになっても自問自答すべき問題であり若いころから始めれば始めるほどよいでしょう。そういう訓練を普段からしているからこそ公式のない問題に対応できる力がつく。そして今まさに時代は不確実性の中で普遍的な価値観を持って意思決定ができる人を求めている。

投稿者: 三ツ松新 | 日時: 2011年04月28日 11:22

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